介護の話は他人事じゃない。
40歳を超えて、母ももう70歳て前になってきた。
父は68歳で大腸癌で既に他界している。
詳細は理解していないが、母は子どもの頃からポリオの小児マヒで
右脚が極端に細く、筋力がなく、棒のようだ。
長年負担をかけ続けた左脚は、股関節も膝も悲鳴を上げだしている。
ここ半年くらいで数回転倒するようになって、骨折しこそはしないが
ひどい打撲の痛みで、しばらく身動きができなくなるほどだ・・・。
ここ数日、数年前までいっしょに働いていた同僚から親御さんの介護のことで相談に乗っている。
私がこの4月から退院調整看護師として働きだしたからだとも思う。
酸素を一生吸わなければならない状態、でもそれなりに動けるから介護保険の認定が重く出づらい…。
酸素がなければ普通の生活も息切れをしてしまうのに、自宅はエレベーターのない4階、自宅に戻るのは厳しいと考えているそう。
施設に行くにしても酸素を吸っていること、認定が重くないことを考えると、かなり幅が狭くなる。
お金の問題もある。
入院しているとなると、本人が施設の雰囲気や職員さんのご様子を見ることも難しい。
入院した時点では、きっと良くなって自宅に戻れるだろう…
そんなお気持ちではなかっただろうか
まさか一生酸素の頼りになって、長らく暮らした自宅に戻れなくなるなんて
晴天の霹靂もいいところ
気持ちの受け入れに時間がかかるのに、治療が落ち着けばもう退院だと迫る病院。
今まさにそんな状態なんだと聞く。
私自身も、退院をする患者さん、ご家族の支援をしているときに同様の場面に何度も遭遇する。
一昔前の病院とは違っていつまでも最初の治療をする病院にいられるわけではない。
今は病院の役割分担がきちんとしている。
治療をする病院
ある程度落ち着いたら受け入れる病院
リハビリのための病院、施設
介護をしてもらう施設・・
頑張って自宅への退院
実際にはこんなに単純ではなくて、もっと複雑。
どれだけ自宅でがんばれるか、ご本人の力、ご家族の力がどれだけあるのか
近くに家族がいるのか、家族との関係性は良好か
それとも家族がいないのか
末期の癌でも、トイレも食事も身の回りのすべての介護をするかもしれない覚悟があるのか
金銭面はどれくらい余裕があるのか
地域の病院や施設がどれくらい受け皿があるか
ほかにも色々、治療が上手くいかない場合ももちろんある。
もういろんな条件と価値観と気持ちとを経過が流れる中
その時のベストを見つけ出し、落としどころをご本人、ご家族と協議して
決めていくのだ。
元同僚の親御さんも地元の施設に行くのか、地元を離れて元同僚と同居するのか
元同僚の近くの施設に行くのか
もしくは無理をして自宅に戻るのか…
入院して立った10日間ほどで、もう人生の最期の段階で大きな決断を迫られている。
でもどれをとってもベストの選択なんてなくて、その時のベストの選択をするしかない…と私は考えている。
はてさて相談を受けている中、自分はどうなんだろうと思う。
私の母は若いとはいえ、障害があって一般的に介護が必要とされる年代よりは若いうちに身動きがとりづらくなるだろう。
そう予測して現在同居している。
でも、自分が仕事を抱えて、まだ娘も小学生、これからといったところでもし介護が必要な状況になったら…?
他人ごとではないなあと考えつつも、答えは見つからない。
私としては、今いっしょに住んでいる家で最期まで看てあげられたら…と考えている。
多感な時期を迎えつつある娘のケアも、結局今の職業形態では難しいのではないかと思う。
何人多くの同僚を見送っただろう、子育て、介護、自信の病気やメンタルの不調
かろうじて私は運がいいのか悪いのか、看護師の仕事を続けられているけれど。
多くの患者さんやご家族との関わりを通して、本当に他人事じゃない。
こうしている間にも、きっと悩める方々がいるのだろうな…
元同僚(大先輩なのだけど)の親御さんの今後のことが上手くいきますように。
そして私も、いつか来るよりよい親との別れを迎えられるように、
そして自分も望んだ人生を生きていけるように日々を大切にしていきたいと思うのだ。