担当している師長さんとお話。
病棟のナースが、患者さんの気持ちや精神面の寄り添いが足りない問題。
だいたいの急性期病院は、昼も夜も勤務しているから
同じ患者さんに対して常に同じ看護師が担当するわけではない。
日替わりで担当になるので、
その日の業務が過ぎればいい、自分がやらなくてもいい
という気持ちになるのはわかる気もしないでもない
(自分もそんなところがあった)
いつ何が起こるかわからない中で、業務を必死にこなさないといけないので
じっくり患者さんやご家族の気持ちを聞く時間が取れない
なんなら、忙しすぎる時は、患者さんが生きていて、次の担当に引き継げればいいって状態もままある。マジで
あとは、各看護師の経験年数がかなりばらつきがある。
なんなら急性期病院は、ハードで結婚、出産した看護師さんが
全員が全員続けられるような環境じゃない。
看護師の離職率も高いし、とにかく回転が速い。
新人看護師さんが来るまで、欠員なんてザラで、春になって新人さんで補充するなんて形をとる
だから、業務を必死に覚えてある程度できるようにならないと
患者さんの深い気持ちに気づくのは難しい。
若い、ということは、人生経験もどうしても未熟だ。
歳を重ねることや、自分の親が老いてきた経験も少なかろう。
時々早くにして病気の親御さんがいらっしゃって…という看護師さんは
若くしてもやっぱり経験があるから、患者さん、ご家族の気持ちに寄り添いやすい。
学校や、先輩たちからあれやこれや言われても、なかなか結び付かず、行動にならないのだ。
とにかく「退院」がゴールになりやすい。
私もかつてはそうだった。
退院した先でどうなっているかわからないから、
とにかく退院させればいい、なんて思っていた。
病院の外から来てくれる、ケアマネさんや訪問看護さんたちに引き継ぐ意識が低め。
退院前カンファレンスや看護サマリを作るのも面倒に思っているスタッフも多いような気がする。
でも患者さん、ご家族の人生は退院した先もずっと続いている。
なんなら、入院前からちゃんと人生があったのだ
それが見えずに、病院という限られた狭い世界の中が全てになりがちで、なんなら自分たち医療従事者が権力をもっているかのように振る舞う…
いや、かつで自分もそうだったのだ。
まずは、自分の父親がガンになった。
このまえ7回忌だったから、もう7年。
令和になる直前に亡くなったから、令和の年数と同じ年だけ、経過している
こんなに家で看病するって大変なんだ
人生が激変する…
たった1年の闘病生活、いくつかは入院したし、最期は緩和ケア病棟で看てもらっていたから、そんなにずっと自宅にいたわけじゃない。
でも働きながら、娘も2歳とか3歳で、乳離れもまだ、反抗期もあって
あの時はしんどかったな…
って、私、こんなに家でいろいろするのって大変なんだって
思い知ったものだ。
(そういや娘が生まれる前に腹切る手術して、家帰ってから痛いの辛くて、あれもいい経験だった)
ずっともやもやしていた、病棟で働いているとき、退院後の生活ってこのまま退院させてもいいの?って思うことが多々あった。
きっと大変じゃないか?何を手伝ったらいい?どうしたら、安心できる??
そんな思いの中働いていて、自分の父親の経験があった。
そんな中で、地域包括支援センターへの移動。
在宅、介護の世界は、未知の世界だったけど、自宅に行って、生活の場を見て
人が地域で生きる姿、退院後の様子を見ることができて
実際に介護保険のサービスを調整するようになって
そりゃあ、もう目からずっとウロコが出っぱなし
15,6年働いていた看護師の経験ってなんだったのーーーーってくらい
患者さん、ご家族たちに酷いことしていたんだなって、猛反省しきりだった。
そうして、今退院調整看護師になって2年目
たくさん知識をつけて、経験を積んで、たくさん病院の外の人の力をお借りして…
いつも迷って、いいのか、いいのかって悩みながら、患者さん、ご家族とどういう退院の形を迎えればいいのかって、考えていく作業は
来るしくて、時にはしんどいけど、やりがいは半端ない
私がやりたかったのはこういうことだーって思う。
そして、あとは患者さん、ご家族のお気持ちの配慮が絶対的に必要。
私に調整の依頼が来たときに、ここが足りないのだ
病院にいた方が安心
自宅に帰って生活できるか不安
どんな風にしていったらいいのかわからない
治療が上手くいかなくてつらい・・・
サービスを入れた方がいいけど、お金がない・・・
いろーんな複雑な気持ちがあって、折り合いをつけていかないといけない。
医師の説明を聞いて納得できていないことも多い
話すことで、受け入れられない現状を受け入れている作業も必要
そこが上手くいかないと、こじれて、こじれて、退院の機会を逃すことだってある。
いくら私が経験が多い看護師だとしても、やっぱり患者さんの側にはいない。
常日ごろ、関わっていないから、患者さんの様子とか、わからないな~って思う。
最初はカルテ上でなんとなく知るところからだけど、顔と名前が一致しないし
微妙なニュアンスは、やっぱり顔を合わせて同じ空間で感じるものもあるのだ
言葉だけじゃわからない、記録だけじゃわからない
そこを、いつも患者さんの側にいる病棟看護師がチームで拾い上げていってくれれば…。
心って時間がかかるから、ポッとでの私があーだこーだ言っても、信頼関係を築くところから始めないといけないからさ、そこは前段階として、やっていってほしい。
なにか意向を引き出そうとするばかりじゃなく
今日はいい天気ですね
体調はいかがですか
どこのご出身なのですか
お好きなことは何?
ご家族に対して、夜眠れていますか
とか、他愛ない話で、「あなたに興味がありますよ、心配していますよ」ってサインがいって、大事な決断をしなきゃいけないときに
あなたたちになら話していい
って関係になっておいてほしいのです…
業務をこなすだけなら、看護師じゃなくてもいい
たぶん下手すれば技術の革新と、AIとで、とってかわられるものが多いでしょう。
より、ハードよりも、ソフトが大切になってくる。
多様性ってそういうことでしょ、個を大切にする時代なのだから
技術でできることはお任せして、もっと心に寄り添えるようになってほしい…
って、人が足りなさ過ぎて、タスクが増えすぎて、現状難しい・・・・もやもや
なんて、師長さんとの話の中で、看護師としてもったいないよねってところがあるのだ。
私も1人の先輩看護師として、いっしょに考えて、話し合って、意識を持ちあげてほしいな…
そんなに退院させたいなら、心を昇華させてあげないと、進まないよ
人間、心がある生き物だからさ
現実と、もやもやと
ながくなっちゃったな
今日の感謝3つ
①なかなか連絡がとれなかったご家族さん、変な時間にご連絡しても、優しく「そちらこそ遅くまでお疲れ様です」って言ってくださって感動、感謝
②すぐに使わないかもしれないけど、紹介状をサッと書いてくださった先生たち
本当にありがたい、退院調整をする中で、先生たちの紹介状は次へのステップのチケットなのだ。書いてくれないと進まない…!ので、本当に感謝!!
③初めて連絡を取った、遠方の訪問診療のソーシャルワーカーさん。すごく優しくて丁寧で、めっちゃ緊張していたけど、つたない説明にも一生懸命聞いてくださって、すごく感謝。また、ご縁ができたらいいな・・・