憎まれっ子世にはばかる
この言葉を見ると
自分の父親と、もう一人忘れられない患者さんの顔が思い浮かぶ。
でもその患者さんからは、学ぶことが多くて、今もふと、思い出すのだ
すごい憎まれ口しかたたかない患者さんがいた
70前後の男性で、病気が複雑なのと家族と疎遠でなかなか難しい人だった
看護師の仕事なんて大したことない
早くあれこれしろとか
待たせるなとか
まーなんとも、人格否定の言葉もあったし、
どうしたらそんなに、ひねくれ倒しちゃったのだろうか、なんてくらい。
家族もそんな患者さんを持て余して、面会にもなかなか来なかった。
看護師たちもだんだんと部屋から遠のく
そりゃ、看護師だって人間だもの
傷つく言葉を投げかける人の側には、足が自然と向かなくなるのだ
そうすると、患者さんは寂しいのか、ナースコールで呼び出すし
ナースステーションにやってくるようになる、特に深夜に
すごく悪循環だった
看護師が距離をとれば、患者さんは追ってくる
なんなら、看護師がちょっと距離を置いているのも、患者さんは気づいている
治療はなかなかすっきりと上手くいかず、入院期間はズルズルと伸びていた
そんな折、たまたま看護倫理の研修があった。
このモヤモヤッとした、なんとも解決できない状況をじっくり考えてみることにした。
私が取った行動は…
ひたすら患者さんのところに行って話を聞くことだった。
誰もが距離を置きたがる患者さん。
自分も正直嫌だった
自分の人格否定をされること、看護師という職業をバカにされること
無理な要求をしてくること、なんでこんな思いをさせられないといけないんだろうって思っていた。
でも、足しげく通ってみた、なんとなく、距離が近付く気がした
普段ふざけてはぐらかすことも、ほんのちょっとだけ、自分の気持ちを話してくれるようになった気がする・・
部署とは関係ない臨床心理士さんが関わるようになって
子どものころのことなど、話を聞いてくださった
幼いころから2人の兄がめちゃくちゃ優秀で、いつもいつも比べられていた。
(本人も相当頭のいい人だったと思うけど)
その二人の兄が、ずっと優秀な大学を出て、社会的地位のある職業についた。
自分はそれほどでもない大学で、それほどでもない会社に入った
(お金持ちそうに見えたから、一般人からしたら本人も相当いい会社に入ったと思われる…)
ずっと兄が目の上のたんこぶだった、親に酷いことも言われてずっと劣等感の塊
結婚したけどうまくいかなかった
息子も生まれたけど、上手く育てられな方、厳しく育ててしまった
みんな離れていった・・・・
看護師への問題行動は、寂しさの裏返しで
病気になってなおのこと、自分への自信のなさが刺激されてのことだったのかもしれない。
やったことや、発言はよくないことだけれど
本人の置かれている状況を知って、今までの怒りやイライラは少し和らぐ気がした。
私たちは、その患者さんの表面しか見ていなかった。
抱えている心の悲しみや不安を気づいてあげられなかった。
そして、距離を置いて、その悲しみをさらに増長してしまった
患者さんのしたことはいくら病気で相手が看護師だからって、言ってはいけないことやってはいけないことばかりだった
その事実は間違いない。
でも、本人の人生や感じてきた気持ちを知ることで
表面だけじゃない彼の生き方を知ることで、
問題行動に走る原因が何となくわかって、腹だたしい気持ちが和らいだのは発見だった。
ものごとを見る時は、目の前で起きていることだけを見てはいけない
苦しいときこそ、いろんな角度から見て、点としてみるだけじゃなくて
線にしたり、面にしたり、上から見たり、下から見たり、
時系列を伸ばしてみたり…
いろんな可能性に思いを馳せるのだ
そうしたら、自分の頭の中と見えているものだけじゃなくて、
もっと違う考えに及べるかもしれない…
そして、私たちは、看護のプロとして、もっと彼にきちんと向き合うべきだったし
プロなんだ…って割り切って気持ちをコントロールするべきだった
(でも嫌だなって気持ちをないがしろにするのも良くないとは思う)
その患者さんは、私が夜勤に入る前に突然亡くなられた。
変わらず彼のところへ毎日顔を出して、明日は夜勤だからね、またねって言って別れたのが最後だった。
なんともむなしくて、結局何ができたんだろうねって思うのだ。
寂しい思いを抱えたまま、彼は死んでいったんだろうか
それとも、ずっと抱えたものをやっと解放できるって思えたのだろうか…
今となってはわからない
でも彼のことは一生忘れないと思う
本当に強烈で、病院中で知られてるくらいの問題児だった
そう思うと、あの最後の入院は、ずいぶん丸くなった方なのかもしれないけど
やっぱり強烈だったな・・・
もう10年近く前の話
なんか、思い出しちゃったな。
そうだ、人は見かけによらないとか
あぁ、自分はまた浅いものの見方をしてたなって思うと、彼の顔が思い浮かぶのだ。
(SNSとかなんて、文字しかないもんだから、いっちばんぺらっぺらの浅いところしかみえないよなーって思う!)
あとそうだ、本人に聞いてみなきゃ本人の気持ちはわかんねぇってことも、この人から学んだもんだ…
あの世で元気にやってるかな
絶対憎まれ口たたいてやってるのかな、甘えるの下手過ぎだし、プライド高いし、本当に不器用な人!だったなーーーー!
今日の感謝3つ
①どうにも調整がつかなくて、譲歩して下さった、めちゃくちゃ優しいケアマネさんに感謝…!今度退院前カンファレンスでお会いするのが楽しみすぎます…電話口の声がとっても優しくて元気でパワフルで…ご縁ができてうれしすぎる!
②優しいいつも頼りにしている訪問看護さん、なんであんなに落ち着いていて、ふんわりやんわりとしておられるんだろう・・マジで人として尊敬する!いつも融通をきかせてくださって感謝・・・!
③いつもニコニコ教えてくださる同僚のSWさん、私に分け隔てなく教えてくださるし、看護師としていろいろ聞いてくださるし、あーなんて人として素晴らしい方なんだろう…あー大好き、感謝しかないーーー!